「空き家」というものに、アイデアとストーリーをのせる。
これをすることで、放棄されたSpaceが活気をおびて蘇る。

私が「空き家」に魅せられたのは、それがあまりにも大きな不用物であると同時に、
それがあまりに大きな可能性を有したエネルギーボックスに感じられたからです。

日本では不動産市場というものがあり新築、中古を問わずに売り買いがなされる一方で、
空き家は何年もの間、増え続けています。

活気のある空間は、地域に生き生きしたバイブレーションを生み出しますが、
寂れた空間は、地場を弱らせて、地域から煙たがれるオーラを放つことになってしまう。

そこに欠けているものは、明らかにアイデアとストーリーなのです。
もちろん、リソースと呼ばれる人力だって重要です。

でも、人が何に吸い寄せられるかと言えば、
それは、「希望」を孕んだ発想と物語に、なのです。

私は、これまで多くの空き家に触れてきました。
そして、空き家が蘇る様を目の当たりにしてきました。

そこで私が感じたことは、
空間は、人々にクリエイティビティというインスピレーションを与え、
人々は、そのひらめきを元に手を動かし、新しい空間を生み出す、
という循環が存在するということでした。

今、胸を当てて次代に何を残すべきか?を考えたときに、
それは、負の遺産であってはならない、
残すべきは、未来を感じさせる希望でなければならない、
ということです。

もちろん、そこには、様々な利害関係もあるはずです。
しかし、そのこんがらがってしまった糸は、
絶対にほどけないものではありません。
ましてや、切れなかったり、燃やし消すことができないものでもない。

であれば、一見、複雑怪奇に見える存在を、
とき解くべきだと想ったのです。

解放することで、夢やビジョンがそこから生まれるに違いない。
私は、そんな夢を見たのです。

空き家というSpaceにアイデアとストーリーを込めて、
未来へ向かって生きる現代人、次代の子供たちへ贈る。

その想いが、この編集室が活動を営む大きな原動力となっているのです。

 RE: 空き家編集室 鈴木隆文
一般社団法人 日本空き家再生協会 空き家再生士